日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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薬剤探索から得た新規アゴニストを用いたサリチル酸情報伝達機構の解析
*能年 義輝岡崎 正晃白須 賢
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p. 0295

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抄録
我々はケミカルバイオロジー手法を用いて抵抗性遺伝子依存性の防御機構の解明を行っている。シロイヌナズナ培養細胞とトマト斑葉細菌病菌DC3000 avrRpm1株を96穴プレート上で感染させる独自の系を用い、市販の多様性化合物ライブラリー10,000個の大規模スクリーニングから過敏感細胞死を亢進する低分子有機化合物を7種類単離した。この中の一つであるCB_6は野生型及びSA欠損sid2変異体に添加すると防御遺伝子PR1の発現を誘導し、SAアナログ活性があることがわかった。一方でSA内生量には影響しなかったことから、CB_6はSA合成の正のフィードバック制御には関与しないと考えられた。またCB_6はSAのようにジャスモン酸(JA)によるLOX2遺伝子の発現を抑制せず、SAがJAシグナルに対して示す拮抗作用は持たないことがわかった。現在、このSAの働きを部分的に模倣するCB_6の標的タンパク質同定を複数のアプローチで進めている。化学遺伝学的手法としてCB_6の生育抑制効果に対して非感受性を示すシロイヌナズナsgi (SA agonist insensitive)変異体を14個単離し、それらのマップベースクローニングを進めている。また、生化学的手法としてビオチン化プローブによる精製実験及び酵母3ハイブリッド法を利用した探索法を検討している。
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© 2011 日本植物生理学会
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