日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリアのニトロゲナーゼによる光生物的水素生産持続性に対する二酸化炭素の影響と反応容器
*北島 正治増川 一櫻井 英博井上 和仁
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p. 0298

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抄録
シアノバクテリアNostoc sp. PCC 7422株を親株として作成した取込み型ヒドロゲナーゼ遺伝子挿入破壊株(ΔHup株)は、密閉容器内において酸素発生条件下で光生物的にニトロゲナーゼにより水素を約30%まで蓄積した。硝酸塩を含む培地から含まない培地に移して2日までを誘導期、それ以降を水素生産期とし、Arを主体とし窒素とCO2の濃度を変えた培養気相下で、水素の蓄積量と水素生産の持続性に対する影響について調べた。既に報告したように、水素生産期の窒素濃度が高いと水素生産活性は低く、活性の持続には濃度約0.5-1%が最適であった。窒素濃度を0.5%とし、誘導期と水素生産期で培養気相中のCO2濃度を0.03%、1%、5%として培養した場合、誘導期、水素生産期ともに濃度5%のものが最終的水素濃度が高かった。水素生産期で約一週間毎に気相の回収および気相更新を行ったところ、培地を更新することなく60日以上にわたって水素の生産が維持された。水素蓄積実験の培養容器としては、ブチルゴム栓付きの密閉容器を用いているが、水素と酸素の放出、CO2の吸収と放出によって、時間の経過とともに内圧が上昇してしまう。クレハ社のBeselaバッグは、透明で比較的水素バリアー性が高い。バッグから分析用に気体を採取するためのガスサンプリングデバイスを開発したが、これらを用いた水素蓄積の測定結果についても報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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