抄録
高等植物の葉緑体電子伝達成分であるプラストキノン(PQ)は、その酸化還元により電子移動に関与している。現在までに、PQの酸化還元測定には、直接的な方法としてHPLCによる分析、間接的にはクロロフィル蛍光、ポーロラグラフィによる測定があった。しかし、HPLC法により求められるPQには、光照射により酸化還元状態が変化するphotoactive PQ以外に光条件(電子伝達)に関与しないnon-photoactive PQが含まれていた。実際、暗中の葉片のPQの60%以上が還元型で存在している場合もあり、正確なphotoactive PQ測定法が必要であった。その中で、Krukら(2006)が、阻害剤の組み合わせによりphoto, non-photoactive PQsの分別測定が可能であることを示した。しかしながら、Kruk法ではphotoactive PQの酸化還元の範囲を超えるPQ酸化還元が得られることが分かった。このことから、Kruk法の改良を行うことでphotoactive quinoneの定量を行い、その酸化還元状態とクロロフィル蛍光、光強度の関係について調べた。