日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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気孔開度制御に関わる葉肉シグナルの生成に葉肉組織の光合成は必須か?― 新規の気孔観察システム ―
*藤田 貴志野口 航寺島 一郎
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p. 0308

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抄録
気孔開度制御に関わる環境要因の一つにCO2があり、高CO2では気孔が閉じ、低CO2では気孔が開く。CO2による気孔開度の制御機構を解析するために、環境制御下で葉片および剥離表皮の気孔の挙動を顕微鏡観察するためのシステムを構築した。システムの試料用チェンバーは、2個の真鍮ブロック(45 x 55 x 10 mm)を重ねたもので、両面はガラス張りである。恒温槽からの水をブロック内に循環させることで温度を厳密に制御できる。試料を載せた濾紙をブロックにはさみ、チェンバー外で緩衝液に浸すことで、試料の乾燥を防ぐとともに、剥離表皮のアポプラスト液組成制御も可能である。マスフローコントローラーによりチェンバーに流す気体の組成を、ペルチエ素子を用いたコンデンサで露点を自由に制御できる。試料の温度は熱電対で、チェンバー通過後の気体のCO2濃度・露点は赤外線ガスアナライザでモニターする。顕微鏡ステージにチェンバーを置き、長作動距離の対物レンズを用いて観察する。この対物レンズ周りに取り付けた照射ムラの小さなリングライトガイドで試料を照射する。照射光の光質も可変である。CO2による気孔開度制御に葉肉組織由来のシグナルの関与が示唆されているので、まずは斑入りツユクサの剥離表皮を葉肉組織に載せたときの気孔の挙動を観察している。このシステムを用いることでシグナルの生成条件・化学的性質が解明されると期待している。
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© 2011 日本植物生理学会
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