日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナにおける7-ヒドロキシメチルクロロフィルa 還元酵素の同定
*目黒 美生伊藤 寿高林 厚史田中 亮一田中 歩
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p. 0309

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抄録
クロロフィルは光合成の中心的な役割を持つ分子である。一方、遊離クロロフィルやクロロフィルの合成や分解の中間体は、活性酸素を生成する危険な分子でもあるため、安全な分子へと変換される必要がある。このようなクロロフィル代謝経路を担う酵素のほとんどは、すでに単離、同定されている。しかし、クロロフィル分解の最初のステップであるクロロフィルb からクロロフィルa への転換のうち、7-ヒドロキシメチルクロロフィルa からクロロフィルa への反応を触媒する酵素は未だ同定されていなかった。
そこで私たちは、7-ヒドロキシメチルクロロフィルa を蓄積するシロイヌナズナの変異株の原因遺伝子産物の生化学的解析を行った。この原因遺伝子産物を大腸菌で発現させ、精製したものをサンプルとして用いた。解析の結果、このタンパク質はFAD及び鉄分子を保持していた。また、アミノ酸配列の解析から、このタンパク質は鉄-硫黄クラスターを持っていることが示唆された。さらに、この精製タンパク質を用いて酵素学的解析を行ったところ、フェレドキシンから受け取った還元力を利用して7-ヒドロキシメチルクロロフィルa をクロロフィルa へ転換する反応を触媒することが示された。このことから私たちは、この遺伝子産物が7-ヒドロキシメチルクロロフィルa 還元酵素であると結論付けた。
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© 2011 日本植物生理学会
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