日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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緑藻クラミドモナスの光化学系1アンテナ複合体の生化学的解析
*杉本 育代大西 岳人高橋 裕一郎
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p. 0318

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抄録
緑藻クラミドモナスには光化学系1に結合するアンテナ複合体(LHCI)が9種類(Lha1-9)存在する。これは高等植物に見出された4種類より多く,多量のLHCIが光化学系1に結合する構造は十分に解明されていない。本研究ではこれまでに作製もしくは入手したLhca1-9に対する抗体を用いてLHC変異株(BF4)とクロロフィルb欠損株(ΔChlb)に蓄積するLHCの存在を詳細に解析し,LHCIの構造の解明を試みた。BF4株は黄緑色の細胞でLHCIをほとんど蓄積せず,Lhca5とLhca6だけが多少検出された。一方,ΔChlb株のLHCI蓄積は著しく少なかったが,生育時の光条件によりその組成は変化した。弱光下ではLhca2が少し検出され,通常の光照射下ではLhca9が正常に蓄積した。興味深いことに,これらの変異株ではLHC近傍に存在する光化学系1サブユニットの蓄積も大きく減少した。LHCIオリゴマーの両端に存在するPsaKとPsaGは,BF4と弱光下で生育させたΔChlbではほとんど検出されなかったが,通常の光照射下で生育させたΔChlbには蓄積した。一方,LHCIのルーメン側に結合するPsaNはいずれの場合でも大幅に減少した。以上の結果から,光化学系1複合体に結合するLHCIの構造について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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