日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

光化学系II反応中心のP680+の電子構造の研究
*伊藤 直樹近藤 徹三野 広幸
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0319

詳細
抄録
光化学系II(PS II)反応中心クロロフィルP680の酸化還元電位はおよそ+1.2 Vと高く、極めてユニークな存在である。 他と比べても光化学系I(PSI)反応中心P700や紅色細菌反応中心P870では+0.5 VとPSIIの酸化還元電位は非常に高い事が分かる。 P680+の高い酸化還元電位の理由を明らかにするために、PSII反応中心(PSII RC)を用いた研究がこれまでに様々行われている。CW-ENDOR法では、82 %の電子スピンが1つのChl上に非局在化しているという結果が得られている。 またFTIR法では電荷分布が2つのChl上に等しく非局在化しているという結果が報告されている。
今回の実験では2パルスESEEM法と3パルスESEEM法を用いてPSII RCのP680+の信号を得る事が出来た。解析結果から2.7と2.0 MHzの窒素核由来の超微細構造定数(hfc)を得ることができた。ESEEM法により得られたChl a+のhfcの値と比較すると70~85 %程度減少しているという結果が得られた。これはP680+の電子スピンは1つのChl上に70~85 %に非局在化していると意味する。ChlZ+の信号と比較し解析結果を報告する。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top