抄録
花成はシロイヌナズナやイネ等でよく研究されているが,樹木ではほとんど知見がないのが現状である。本研究では,モデル樹木として知られるユーカリを用いて樹木における花成制御機構を解明することを目的とし,モデル植物で花成制御因子として知られるCO,FT遺伝子のホモログを単離し、それらの発現と機能を解析した。ユーカリゲノムのデータベースでのBLAST検索の結果,10個のCO及び4個のFTホモログの存在が明らかとなり,その中からシロイヌナズナのCO及びFTと相同性の高いEugCO1及びEugFT1,FT2,FT3をEucalyptus urograndisより単離した。次にこれらをシロイヌナズナの野生型や花成遅延変異体で強制的に発現させたところ,EugCO1とEugFT1はともに花成を促進した。また,EugCO1及びEugFT1の発現の日本の圃場における季節変動を調べた。その結果、EugCO1では際立った発現レベルの変動は見られなかったが、EugFT1の発現レベルは花芽形成が観察される6月に先立つ4月の葉において最も高く,9月の葉で最も低かった。この結果よりEugFT1の発現は花成と相関があることが示唆された。