抄録
症例の概要:患者は52歳女性.上顎右側臼歯部の動揺および上下顎義歯の違和感を主訴に来院.上顎残存歯の重度歯周炎と上下顎義歯不適合による咀嚼障害と診断した.保存不可能な残存歯を抜歯し,上下顎義歯新製によって機能と審美性の回復を図ったが義歯の違和感が強く,上顎については磁性アタッチメントを用いたインプラントオーバーデンチャーによる補綴治療を行った.
考察:インプラントによる補綴治療では必ずしも固定性義歯が最適であるとは言えず,本症例では咬合やリップサポート等の観点からインプラントを支台とした可撤性義歯の設計とした.
結論:上顎無歯顎に対してインプラントオーバーデンチャーによって良好な結果が得られた.