抄録
Rhomboidタンパク質は6-7回膜貫通型のSerプロテアーゼで原核生物から真核生物に渡り広く保存されている。ショウジョウバエのRhomboid-1タンパク質はEGF受容体リガンドを分解することが分かっており、このような基質特異性は酵母をはじめ生物間をまたがって保存されている。それに対し植物でのターゲットは依然として未知のままである。シロイヌナズナゲノムには15個のRhomboid 様遺伝子が存在するが、そのうち13あるいは14個において酵素活性に必要であるとされるアミノ酸が保存されている。AtRBL2が葉緑体のトランスロコン成分のTic40を切り出すことが示唆されているが、他のメンバーの機能は未だ不明である。我々は今回AtRbl10がシロイヌナズナにおいてABA感受性に関与していることを見出したので報告する。AtRbl10は葉緑体トランジットペプチドを有しており、葉緑体タンパク質であると推定される。AtRBL10遺伝子にAc/Dsトランスポゾンが挿入された変異体やT-DNAが挿入された変異体を、ABAを含む培地で生育させたところ、atrbl10変異体では野生型植物体と比較して生育阻害が顕著であることが分かった。一方、通常条件下で生育させた変異体の光合成活性は野生型植物体との差は見られなかった。現在GFPやGUSを用いた発現解析を行っており合わせて発表する予定である。