日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ペルオキシソームタンパク質輸送におけるapm10変異体の解析
*後藤 志野真野 昌二中森 ちひろ近藤 真紀山脇 隆一加藤 朗西村 幹夫
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p. 0362

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抄録
植物ペルオキシソームは植物ホルモンの生合成や光呼吸に関与し、植物独自の機能を進化の上で獲得してきた。興味深いことに、外的環境の変化や組織の違いによって可逆的にペルオキシソームの機能転換が起こることが知られており、このようなペルオキシソームの柔軟性が植物の高次機能獲得の鍵となっている。ペルオキシソームは独自のゲノムを持たないため、機能、形態維持に必要な遺伝情報は全て核にコードされている。そのため、ペルオキシソームの柔軟な機能転換において、サイトゾルからペルオキシソームへの新生タンパク質の輸送は厳密に制御されている。我々は、ペルオキシソームの形態形成の分子機構を明らかにするために、ペルオキシソーム可視化形質転換体を親株としたスクリーニングを行い、種々のaberrant peroxisome morphology (apm)変異体を単離してきた。このうちのひとつ、apm10変異体ではタンパク質の輸送効率が著しく低下しており、APM10がペルオキシソームにおける輸送機構の構成因子であると期待された。遺伝子同定の結果、APM10はペルオキシソーム輸送シグナルをもつLONプロテアーゼであることが明らかとなった。今回の報告では、タンパク質輸送機構においてLONプロテアーゼが担う役割を考察したい。
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© 2011 日本植物生理学会
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