抄録
我々はペルオキシソームがGFPで可視化された形質転換シロイヌナズナを親株として変異処理を施し、GFPの蛍光パターンが親株と異なる apm (aberrant peroxisome morphology) 変異体を多数選抜し、ペルオキシソーム形成や機能に関わる因子の同定と機能解析を進めている。
apm7変異体では、GFP蛍光がサイトソルでも観察されることから、ペルオキシソームへのタンパク質輸送が低下した変異体であると考えられる。マッピングの結果、APM7遺伝子はペルオキシソーム形成因子群 (PEROXIN: PEX) の1つPEX4に相同性のあるタンパク質をコードしていることが明らかとなった。PEX4は酵母でのみ同定されおり、ユビキチン系のE2酵素として働くUbiquitin-conjugating (UBC) enzymeとして機能することが報告されているものの、植物のPEX4 のUBC活性の有無などの解析は行われていない。今回、我々はシロイヌナズナのPEX4もUBC活性をもつこと、その活性がペルオキシソームへのタンパク質輸送に必要であること、apm7では異常なユビキチン化が起こっていることを明らかにした。現在、PEX4プロモーターとGUS融合遺伝子を発現する形質転換体の解析およびPEX4の局在性について解析を進めている。