日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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緑葉ペルオキシソームの機能維持に対するオートファジーの機能解析
*柴田 美智太郎及川 和聡真野 昌二近藤 真紀吉本 光希大隅 良典西村 幹夫
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p. 0365

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抄録
ペルオキシソームを可視化したシロイヌナズナを用いてペルオキシソームの細胞内局在の異なる変異株peup1 (peroxisome unusual positioning 1)をスクリーニングした。peup1におけるペルオキシソームは凝集体を形成し、サイトゾルをただよっている。しかしながら、この凝集体は葉肉細胞など光合成細胞のみで観察され、根やトライコームといった非光合成細胞では観察されない。シロイヌナズナにおけるペルオキシソームの機能として、光呼吸、脂肪酸の分解、植物ホルモンの合成、ポリアミンの合成などが知られている。このうち光合成細胞におけるペルオキシソームの機能は主に光呼吸である。光呼吸に関わるペルオキシソームを特に緑葉ペルオキシソームと呼ぶ。ペルオキシソームにおいては副産物として毒性の強い過酸化水素が産生されるが、カタラーゼによって水と酸素に分解される。これまでの解析から、原因遺伝子PEUP1はオートファジー関連遺伝子をコードしており、peup1ではオートファジーの欠損が示唆される。また、免疫電子顕微鏡観察およびイムノブロットの結果から、peup1におけるペルオキシソームの凝集体では、低活性カタラーゼの蓄積が示された。しかも、peup1には活性酸素種が蓄積し、植物体の老化が早まっている。以上の結果から緑葉ペルオキシソームの機能維持に対するオートファジーの役割を議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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