日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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定量プロテオミクスを用いたダイズ子葉のペルオキシソームタンパク質の網羅的解析
*中井 篤林 誠深尾 陽一朗吉瀬(新井) 祐子西村 幹夫
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p. 0367

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抄録
真核細胞に存在するオルガネラの1つであるペルオキシソームは脂肪酸代謝、光呼吸、活性酸素種の除去など植物の一生を通じて重要な機能を担っている。さらに、酵母や哺乳動物では観察されず、植物特異的な現象として、高等植物のペルオキシソームは、環境や組織、成長段階に応じて可逆的な機能転換を行うことが知られている。しかし、ペルオキシソームのタンパク質は未同定のものが多く残されていると考えられる。本研究では、定量的プロテオーム解析によるペルオキシソームタンパク質の網羅的同定と共に、ペルオキシソーム機能転換時のダイナミックなタンパク質変動を明らかにした。
暗所発芽させたダイズ子葉のグリオキシソームと、光照射して機能転換させた緑葉ペルオキシソームを密度勾配遠心によって単離した。iTRAQを用いたMS解析によって各ペルオキシソームタンパク質の網羅的同定と、機能転換に伴うペルオキシソームタンパク質の量的変動を解析した。グリオキシソームタンパク質と緑葉ペルオキシソームタンパク質は、変動パターンにおいて明確に区別することができた。ペルオキシソーム機能転換時のタンパク質変動パターンを明らかにすることで、他オルガネラ由来コンタミネーションと考えられるタンパク質を排除するとともに、複数の新規ペルオキシソームタンパク質を同定した。
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© 2011 日本植物生理学会
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