日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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Atg6-ホスファチジルイノシトール3キナーゼ-UVRAG複合体と植物の老化・成長制御
*藤木 友紀大隅 良典西田 生郎
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p. 0372

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抄録
オートファジーに必須な遺伝子群( ATG )の一つとして単離されたAtg6は、ホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)と複合体を構成してその活性や細胞内局在を調節することで、オートファジー以外にも様々な生命現象に関わっていると考えられている。植物ではPI3Kは花粉発芽に必須で、逆遺伝学的な解析は進んでいなかったが、我々はPI3K調節因子としてのAtg6に着目することで、植物の発生や成長制御におけるPI3K複合体の役割を明らかにしたいと考えた。シロイヌナズナのAtATG6破壊株もPI3K欠損株と同様、雄性不稔となるが、花粉特異的プロモーターを利用した AtATG6 の機能相補により雄性不稔を回避し、 atatg6 のホモ変異体植物を得ることができた。この変異体ではPI3Pの蓄積量が低下し、オートファジー不能となるだけでなく、著しい生育阻害など多面的な表現型が見られた。また、マイクロアレイ解析から老化や傷害応答遺伝子を含め多様な遺伝子発現の誘導が示唆された。 atatg6 変異体は、植物のPI3K複合体が担うリン脂質シグナリングと生理機能を理解するモデルケースとして期待される。さらに、AtAtg6の結合タンパク質の一つとしてAtUVRAG を同定し、その変異体表現型を atatg6 と比較したので、あわせて報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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