日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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セルラーゼ過剰発現による稲わらの糖化性の向上
*濁川 睦渡辺 藍子園木 和典伊藤 幸博
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p. 0371

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抄録
セルロース由来のバイオエタノールの効率的な生産を目的とし、セルロースを糖に分解する微生物の研究と改良が盛んに行われている。これらの研究と並行して、セルロースを生産する植物側も改良されれば、分解しにくいセルロースを効率よくエタノールにすることができる。そこで、セルロース由来のバイオエタノール生産に適したイネの開発を試みている。具体的には、時期特異的プロモーターとセルラーゼ遺伝子を用いた糖化性の向上したイネの開発を目指している。
本研究では、まずセルラーゼ過剰発現イネを作成した。RT-PCRによりセルラーゼの過剰発現を確認し、さらに蛍光基質を用いてセルラーゼ活性の向上を確認した。
次に形質転換イネの表現型を観察した。セルラーゼ過剰発現イネでは葉身の褐変、縮れ、分岐や不稔などの異常が観察された。また糖化試験を行ったところ、形質転換イネは茎の糖化性が向上していた。これらにより、セルラーゼ過剰発現によりセルロース由来のバイオエタノール生産に適した糖化性が向上したイネの作出が可能であると考えられた。
さらにセルラーゼ過剰発現によるイネ生育への影響を回避するため、発現時期を老化時期に限定することを試みている。現在、SGRプロモーターの有用性を検討している。
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© 2011 日本植物生理学会
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