日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケにおけるABI3を介したABA応答性遺伝子の発現制御機構の解析
*中村 いずみ川戸 高博猿橋 正史太治 輝昭林 隆久坂田 洋一
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p. 0383

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抄録
我々は、ABI3とアブシジン酸 (ABA) を介した遺伝子発現制御機構が基部陸上植物ヒメツリガネゴケにおいてすでに確立した機構であることを明らかにしてきた。ヒメツリガネゴケABI3 (PpABI3) を介したABA応答性遺伝子の発現制御機構を明らかにすることを目的とし、これまでに酵母の系においてPpABI3とCCAAT結合タンパク質複合体サブユニット (NF-YC) が相互作用することを明らかにしている。しかしながら、ヒメツリガネゴケの一過的発現解析においては、ヒメツリガネゴケNF-YC (PpNF-YC) はPpABI3によるABA応答性のヒメツリガネゴケPpLEA1プロモーターの活性化に影響を与えなかった。そこで、シロイヌナズナにおいてNF-YCと複合体を形成するシロイヌナズナLEC1に着目した。LEC1はNF-YBをコードし、ABI3と遺伝学的に相互作用することが報告されている。LEC1をPpNF-YCと共発現させるとPpABI3によるPpLEA1プロモーターの活性化能が大幅に増大することが明らかとなった。さらに、LEC1はシロイヌナズナ由来のABI3およびNF-YCと共発現させた場合においてもPpLEA1プロモーターを活性化した。以上のことから、ABI3とNF-Y複合体を介した新規の遺伝子発現制御機構の存在が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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