日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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カーネーションとデルフィニウムにおける新奇アントシアニン配糖化酵素活性の検出
*佐々木 伸大松葉 由紀岡本 えみ岡村 正愛寺 正行阿部 裕長澤 和夫小関 良宏
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p. 0391

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抄録
代表的な植物色素の一種であるアントシアニンはその基本骨格が糖や有機酸によって修飾されて液胞に蓄積されている。アントシアニンの配糖化は糖ヌクレオチドを糖供与体とした酵素反応によって行われることが明らかとなっている。これまでにアントシアニン骨格の3位や5位に糖を転移させる酵素については多くの報告があるが、カーネーションにおいてアントシアニンの5位に糖を転移する酵素についての報告はなかった。また、デルフィニウムなどはアントシアニンの7位が糖によって修飾されているが、アントシアニンの 7 位配糖化酵素活性はこれまでに報告がなかった。本研究では、カーネーション花弁内に糖ヌクレオチドではない糖供与体を用いたアントシアニン5位配糖化酵素反応を触媒する酵素が存在していることを突き止めた。また、その糖供与体となる化合物がカーネーション花弁内に蓄積していることも分かった。この新規糖供与体について植物体から精製し、各種分光学的手法によって確認したところ、バニリル-β-D-グルコース (VG) であることが明らかとなった。また、VG を糖供与体として、デルフィニウム花弁から調整した粗酵素液を用いて、A3Gを糖受容体として反応させたところ、アントシアニン 3,7-ジグルコシドの生成が確認された。この研究は生物系産業創出のための異分野融合研究支援事業により行った。
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© 2011 日本植物生理学会
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