抄録
シソの成分変種であるアカジソとアオジソについては古くから遺伝学研究が行われており、アントシアニン生産に関して少なくとも3つの遺伝子座(A、BおよびK)が関与することが示されている。また、近年複数の植物種においてMBW複合体(MYB/bHLH/WD40)がアントシアニン生合成を制御することが明らかにされている。これまでに演者らはシソから2つのMYB因子(MYB-P1、MYB-C05)、3つのbHLH因子(MYC-F3G1、MYC-RS、MYC-RP/GP)ならびにWD40因子(PFWD)を単離し機能解析してきた。しかしながらアカジソ特異的に発現する因子の単独過剰発現体ではアントシアニン誘導は見られなかった。そこで、アカジソにおけるアントシアニン生産制御には因子間の組み合わせが重要であると推測し、シソのMYB因子、bHLH因子ならびにWD40因子のすべての組み合わせの間でタンパク質相互作用とそれぞれの因子のDFRプロモーターへの結合能を調べた。その結果、MYB-C05とMYC-F3G1、PFWDとMYC-F3G1の間で最も強い相互作用が認められ、これらの相互作用がアカジソとアオジソのアントシアニン生合成の違いを決定することが示唆された。