抄録
イネの細胞膜型アクアポリン(OsPIP)は11種類報告されており、そのアミノ酸配列より1群と2群に類別される。これまでにXenopus oocyteを用いて11種類のOsPIPの水透過性実験を行い、1群は水透過性が低いが、2群は高い水透過性を示し、1群と2群を共発現させると水透過性が向上することを報告した。また、1群-EGFP融合タンパク質をOocyteに発現させると細胞膜(PM)にあまり存在せず、2群と共に発現させると1群-EGFPの存在量がPMで増加することが解った。そこで、この現象をより詳しく調べるため、イネOcCell由来プロトプラストを用いて1群と2群に蛍光タンパク質を融合させて細胞内局在を観察した。1群は主に小胞体(ER)に、2群はPMに存在する細胞が多く確認されたが、1群は2群と共発現させるとPMへ移動した。さらに、改変Fluo-chase Kitを用いて1群と2群が結合する細胞内小器官を観察したところ、OsPIP1;1と2;1の結合は24h後でERに局在し、72h後にはPMに局在する細胞が多く認められた。OsPIP1;1同士の結合は72h後も大部分がERに留まり、OsPIP2;1同士の結合は、OsPIP1;1と2;1の結合よりPM局在の割合が少なかった。以上の結果からOsPIP1群の細胞膜移動には、2群の結合が重要であると考えられる。