日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ジャスモン酸配糖体のCOI1-JAZ複合体非依存的な就眠運動の活性化機構
*浜本 晋中村 葉子Mithofer AxelKombrink ErichBoland Wilhelm魚住 信之上田 実
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p. 0405

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抄録
ジャスモン酸類の植物への作用は、生育抑制やストレス応答など多岐にわたる。これまでに、アメリカネムノキ(Samanea saman)の葉枕に作用して葉を閉じさせる就眠分子として、ジャスモン酸(JA)の配糖体である(-)-12-O-β-D-glucopyranosyl jasmonic acid((-)-LCF)を単離した。本研究では、就眠運動の作用機構の解明のため、 (-)-LCF、(+)-ent-LCF、JA-Ile等のジャスモン酸類による葉枕の運動細胞の体積変化を検討した。その結果、(-)-LCFのみが細胞収縮を誘導し、その収縮は葉枕内側の運動細胞にのみ見られた。また、イオンチャネル阻害剤により細胞収縮が抑制されたことから、(-)-LCFの下流におけるイオンチャネルの活性化が推定された。次に、既知のJAシグナル伝達と(-)-LCFの関連性を検討した。JAにより誘導され、COI1-JAZの支配下にあるpLOX2::GUSを導入したシロイヌナズナをジャスモン酸類を用いて処理したところ、(-)-LCFはpLOX2::GUSを誘導しなかった。また(-)-LCFは、典型的なジャスモン応答である揮発性成分生合成誘導活性も示さなかった。以上より、就眠運動は(-)-LCFによって誘導され、(-)-LCFはCOI1-JAZとは異なるシグナル伝達経路を用いて運動細胞に作用することが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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