日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シアノバクテリオクロムTlr1999の青/緑色光変換機構へのチオール基の関与
*榎本 元広瀬 侑成川 礼池内 昌彦
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p. 0419

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抄録
シアノバクテリオクロムとは、シアノバクテリアが持つフィトクロムとは似て非なる一群の光受容体であり、多くは青色光吸収型 (Pb)と緑色光吸収型 (Pg)で可逆的な光変換を示すと考えられている。これまでの研究で、Pb/Pg変換においては、発色団として結合している開環テトラピロール色素フィコビオロビリン (PVB)のC15-Z/E変換に加え、C10へのCysの脱着が起こることが示唆されている。本研究ではPb/Pg型シアノバクテリオクロムと考えられるThermosynechococcus elongatus BP-1のTlr1999に注目し、発現精製した。得られた標品はPb (418nm)とPg (498nm)の可逆的光変換を示した。Pgを、チオール基特異的修飾薬であるヨードアセトアミド (IAA)処理すると、そのスペクトルに大きな変化は見られなかったが、緑色光照射により552nmに光不活性成分(P552)を生成した。PbをIAA処理すると、Pbが経時的に減少し、P552が増加した。またP552をジチオスレイトール処理すると、Pbに似た青色光吸収型を再生し、これはPb/Pg型光変換を示した。これらの結果は、Pb/Pg型光変換には特定のCys残基というよりチオール基の脱着が必要であることを示している。
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© 2011 日本植物生理学会
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