日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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光屈性シグナル伝達因子 RPT2 の光による発現制御機構の解析
*酒井 達也槌田(間山) 智子上原 由紀子松井 南
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p. 0424

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抄録
BTBドメイン及び Coiled-Coil モチーフを持つ NRL (NPH3/RPT2-like) ファミリータンパク質 RPT2 は、青色光受容体フォトトロピン phot1 と結合能を示し、phot1 シグナル伝達経路に働くアダプタータンパク質である。我々はRPT2 の光屈性における機能を明らかにするため、その発現解析を行った。RPT2 が青色光照射によってすみやかに転写誘導されることは以前の研究で報告している。我々は最近、この転写誘導はフィトクロム (phy)、クリプトクロム (cry) 光受容体ファミリー、両者の働きによることを明らかにした。phyA cry1 cry2 三重変異体は rpt2 変異体と同様に強光下の胚軸光屈性に異常が観察され、この表現型は 35S-promoter:RPT2 遺伝子の導入によって部分的に相補した。さらにウエスタンブロット解析によって、phy、cry の働きとは別に、phot1 の活性化に依存してRPT2タンパク質の蓄積がおこることを明らかにした。これらの結果は、phy、cry が RPT2 の転写誘導を介して強光下の光屈性に重要な機能を持つこと、さらに RPT2 の転写後発現誘導機構の解明が AGCVIII キナーゼファミリーに属する phot1 の未だ詳細が明らかになっていない生化学的機能を解明する上で重要であることを示唆した。
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© 2011 日本植物生理学会
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