日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネのカドミウム耐性関連遺伝子の検索と解析
*浦口 晋平齋藤 彰宏神谷 岳洋坂本 卓也安藤 露江花 薫子矢野 昌裕藤原 徹
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p. 0435

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抄録
生物に有害な重金属であるカドミウムの耐性や無毒化に関わる分子機構には,依然として未解明な点が多い。我々はカドミウムに対する耐性がシロイヌナズナよりも強いイネをモデルとして,新規のカドミウム耐性に関わる遺伝子の単離を目的としていくつかのアプローチにより研究を行っている。
台中65号を遺伝的背景とするMNU変異集団(約1200系統)を用い,カドミウムに感受性を示す変異株のスクリーニングを行った。カドミウムの無毒化機構に機能欠損をもつ植物体は,カドミウムに対する感受性が増加すると予想し,200μMのカドミウムを含む培地での変異株の生育を観察した。カドミウム感受性を示す21の変異株が得られた。これらの変異株について原因遺伝子の解析を進めると同時に,カドミウムの輸送や蓄積の解析を行っている。
NIASコアコレクションを用いて同様の解析も行った。コアコレクションに含まれる系統のカドミウム耐性/感受性を解析した結果,カドミウム耐性を示す1系統が単離された。コシヒカリとのF2を用いてQTL解析を行い,11~17%の寄与率を示すQTLを3つ同定した。
イネのcDNAライブラリーから酵母のカドミウム感受性変異株を相補する遺伝子の検索を行った。OsPCS1を含む複数の遺伝子が酵母にカドミウム耐性を付与した。単離された遺伝子のT-DNA/Tos17挿入株を取得し,解析を行っているところである。
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© 2011 日本植物生理学会
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