日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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青枯病抵抗性トマト品種におけるβ-1,3-glucanaseをコードする4遺伝子の発現様式
*石原 岳明中保 一浩
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p. 0444

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抄録
青枯病抵抗性トマト品種における抵抗性の分子メカニズム解明の端緒を得るため、茎部に病原細菌を接種し24時間後の抵抗性品種LS-89と感受性品種ポンデローザの接種部近傍における遺伝子発現をマイクロアレイで網羅的に解析した(対照は水接種)。LS-89では約150遺伝子に2倍以上の発現変動が確認されたが、ポンデローザでは数遺伝子のみだった。このうち青枯病菌接種LS-89では、Class III acidic 及びbasic β-1,3-glucanase両遺伝子の発現量がいずれも大幅に増加することが明らかになった。そこで両遺伝子と、Class I及びClass II β-1,3-glucanase遺伝子も加えた計4遺伝子の発現をリアルタイムPCRで解析した。いずれの遺伝子も接種12時間までほとんど発現が見られなかったが、LS-89では接種24時間後までに発現が増加し、48時間後にはさらに増大した。一方、ポンデローザでは大きな変化は観察されない遺伝子と、接種48時間後に発現量が増加する遺伝子に二分された。また、106から109 CFU/mlの菌濃度で接種したところ、接種濃度と接種24時間後の発現量の関係は遺伝子によって異なっていた。以上のことから、これらのβ-1,3-glucanase遺伝子はいずれも青枯病菌の濃度依存的に発現するものの、それぞれ異なる制御を受けていることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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