日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
会議情報

デュアルR-遺伝子による病原体認識機構:RPS4RRS1遺伝子の作物への導入
*鳴坂 真理白須 賢久保 康之白石 友紀畠山 勝徳平井 正良Kang Seung Won河本 晃一江面 浩岩渕 雅樹鳴坂 義弘
著者情報
会議録・要旨集 フリー

p. 0445

詳細
抄録
私たちは、SSLPマーカーによるマッピング、SNPを用いたnatural variation解析およびT-DNA挿入変異体を解析することによって、アブラナ科野菜類炭疽病菌(以下炭疽病菌と略す)に対して抵抗性を示すシロイヌナズナ(Ws-0)においてR-遺伝子の同定を試みた。その結果、炭疽病菌の認識にはトマト斑葉細菌病菌(非病原力遺伝子AvrRps4を有する)に対応するR-遺伝子RPS4と青枯病菌に対応するR-遺伝子RRS1の両遺伝子が必要であることを明らかにした。デュアルR-遺伝子システムの普遍性を解析するため、2kbのプロモーター領域を有するRPS4Wsと1.7kbのプロモーター領域を有するRRS1Wsをアブラナ科作物のコマツナ(品種おそめ)に導入した結果、両遺伝子が導入された形質転換体が3個体、RRS1Wsのみを有する形質転換体21個体およびRPS4Wsのみを有する1個体の形質転換体が得られた。さらに、T2世代において炭疽病菌および青枯病菌に対する感受度検定を行った結果、1遺伝子導入個体は感受性を示し、2遺伝子導入個体のみが両病原菌に対して抵抗性を示した。これより、アブラナ科作物においてもデュアルR-遺伝子システムが機能し、2つのR-遺伝子が協調して異なる病原体を認識することが示唆された。現在、ナス科作物のトマトやタバコへのデュアルR-遺伝子システムの導入を試みている。
著者関連情報
© 2011 日本植物生理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top