日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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Anabaena sp. PCC 7120の新規アンテナ・光化学系I超複合体
*渡辺 麻衣成川 礼池内 昌彦
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p. 0466

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抄録
光化学系I複合体はシアノバクテリアでは三量体、高等植物ではアンテナタンパク質を結合した単量体として機能すると考えられてきた。一方、我々は糸状性シアノバクテリアAnabaena sp. PCC 7120において、系I複合体が四量体で存在することを発見した(Watanabe et al. 2010 PCP in press)。本研究では単離法を改善することで、Anabaenaから四量体だけでなく、フィコビリタンパク質(PBP)を結合した系I超複合体を単離することに成功した。一般にPBPはリンカータンパク質を介してロッドとコアを構成し、さらに会合して巨大なフィコビリソーム(PBS)を形成し、主に系II複合体に結合しエネルギー伝達することが知られている。一方、本研究で単離した系I超複合体は、分光解析やタンパク質組成からコアを形成するPBPやリンカータンパク質を含まなかった。しかし、ロッドとコアを結合するリンカータンパク質であるCpcG3が特異的に同定された。AnabaenaはCpcGを4コピー持っているが、通常のPBSからはCpcG3のみ同定されていなかった。CpcG3はC末端に疎水性領域を持つため、コアを介さずに系I複合体と結合することが予測される。現在、特異的抗体を用いてCpcG3の挙動と系I複合体との結合について検討中であり、これらを含めて系I複合体とPBSとの関係について議論する。
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© 2011 日本植物生理学会
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