日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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メチオニン合成酵素の就眠運動への関与
*大塚 裕樹真鍋 良幸川島 洋一上田 実神澤 信行
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p. 0474

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抄録
マメ科植物は早朝に葉を開き、夕方に葉を閉じる。この現象は就眠運動と呼ばれ、内在性の生理活性物質である覚醒物質(LOF: Leaf-Opening Factor)と就眠物質(LCF: Leaf-Closing Factor)の濃度バランスが生物時計によって調節されることで起こると考えられている。近年、Cassia属のLOFに結合するタンパク質の部分配列を東北大の研究グループが特定し、そのタンパク質がメチオニン合成酵素(MS: Methionine Synthase) である可能性を示した。そこで、実際にLOFとMSが結合するのか、その結合によってMSの活性に変化があるのか、また他の植物のMSでも同様の働きをしているのかを調べるために、エビスグサ(Cassia obtusifolia)のMSを単離し、発現誘導を行った。それと並行して、マメ科のモデル植物であり、ゲノムが公開されているミヤコグサ(Lotus japonicus)からMSの配列を検索し、クローニング、発現誘導、抗体作製を行った。エビスグサ、ミヤコグサのMSの発現誘導の結果、どちらのリコンビナントタンパク質もメチオニン合成活性を示し、またLOFと結合したものの、LOF存在下において活性は影響を受けなかった。以上のことから、その生理的役割はまだ不明であるもののin vitroにおいてLOFとMSと結合するということが示された。
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© 2011 日本植物生理学会
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