日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ニンジン不定胚における2種類のVP1/ABI3の発現と機能の解析
*納富 啓子田中 一朗鎌田 博塩田 肇
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p. 0475

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抄録
種子の乾燥耐性や休眠性は、植物ホルモンのアブシシン酸(ABA)によって調節される。種子や胚では、ABAの情報伝達にVP1/ABI3が重要な転写調節因子として関与することが知られている。受精胚発生のモデルであるニンジン(Daucus carota)の不定胚から、VP1/ABI3の相同遺伝子としてC-ABI3-1C-ABI3-2の2種類が単離された。C-ABI3-1とC-ABI3-2は、遺伝子発現のパターンは似ているものの、それぞれの過剰発現細胞の解析から、ABA誘導性遺伝子の発現調節においては異なる役割をもつ可能性が示された。ABA誘導性遺伝子(DcECP31)、C-ABI3-1C-ABI3-2の発現におけるC-ABI3-1とC-ABI3-2の作用を明らかにするため、シロイヌナズナabi3-6変異体あるいはニンジンnon-embryogenic cellsを用いてトランスアクチベーション解析を行った。その結果、DcECP31の発現はC-ABI3-2よりもC-ABI3-1によって強く誘導されること、C-ABI3-1の発現はC-ABI3-1とC-ABI3-2によって減少されることが示された。これらの結果から、C-ABI3-1とC-ABI3-2は、ABA誘導性遺伝子だけでなく、C-ABI3-1C-ABI3-2の発現量の調節にも関与していると考えられた。
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© 2011 日本植物生理学会
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