日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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器官境界部で発現するALOGファミリー遺伝子LSH4の機能解析
*武田 征士花野 恵子苅谷 綾乃清水 聡子Zaho Li松井 南田坂 昌生相田 光宏
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p. 0487

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抄録
植物の形態形成にとって、分裂組織とそこから新生される器官の細胞運命を分けることは非常に重要であり、このために、両者を隔てる境界部の確立が行われる。NAC型転写因子であるシロイヌナズナCUP-SHAPED COTYLEDON1 (CUC1)は、境界部の形成に重要な役割をもつ。CUC1の下流で機能する遺伝子の探索が行われ、転写制御を受ける候補遺伝子が同定された。そのうちのひとつ、LIGHT-DEPENDENT SHORT HYPOCOTYLS 4 (LSH4)は、植物で保存されたALOG遺伝子ファミリーに属し、核局在タンパク質をコードする。LSH4は胚、芽生え、葉や花などの器官の境界部で発現していた。ステロイドホルモンの誘導系を用いた実験から、LSH4はCUC1によって直接転写制御を受けることが示唆された。LSH4の過剰発現株では、茎頂メリステムの拡大と葉原基の成長の抑制が見られ、花ではがく片上部に裂け目が入ったり、異所的な花と花器官が形成される等の異常が見られた。以上のことから、LSH4 はCUC1に直接転写されて境界部で発現し、細胞の増殖と分化を調節していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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