日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナPUCHI遺伝子は側根形成の時空間的分布を制御する
*池山 芳史田坂 昌生
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p. 0492

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抄録
高等植物の根系構築には発芽後の側根形成が重要な役割を果たす。側根はオーキシンが高濃度に局在した内鞘細胞から生じ、形成過程を通してオーキシン濃度が高く保たれている。しかし、連続的に形成される多数の側根の分布を時空間的に制御する機構はほとんど解っていない。オーキシン応答マーカーDR5rev::erGFPを用いて野生型の側根形成の開始過程を観察したところ、細胞分裂以前に形成されたオーキシン応答スポットの約半数は側根形成に関与せず消失する事が明らかになった。主根は一定の速度で伸張を続けるが、側根は主根端から約2mm程度の領域にほぼ一定の時間間隔で発生した。これらの結果は、側根形成が周期的なシグナルによって制御されていることを示唆している。puchi変異体は野生型と比較して側根の分布が乱れており、形成される側根数が多い。puchiではオーキシン応答スポットが密に形成され、それらの一部は消失するが消失までの時間が野生型より長かった。そして、puchiでは野生型では見られない側根形成サイトすぐ近傍にもオーキシン応答スポットが観察された。PUCHIはオーキシンによって発現誘導される。なお、細胞周期G2/M期マーカー発現部位の約85%が野生型でもpuchiでも側根を形成した。これらの結果から、PUCHIは側根形成部位の近傍の領域において細胞分裂前に側根形成を負に抑制していることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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