日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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根端メリステムの維持に異常を示すシロイヌナズナfba1変異体の解析
*森本 剛司前田 貴史郷 達明三村 徹朗小川 健一深城 英弘
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p. 0493

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抄録
維管束植物において、根端メリステムの活性を維持することは根系の発達にとって重要である。我々は根端メリステムの維持機構を明らかにすることを目的として、シロイヌナズナから根の成長・発生に異常を示す劣性変異体LR11-4を単離し、解析を行った。LR11-4変異体は、1)野生型に比べ主根の細胞分裂活性および細胞伸長能がともに低いため主根長が顕著に短くなる、2)側根形成頻度は野生型と同程度だが、側根がほとんど伸長せず停止する頻度が高い、などの表現型を示す。精密マッピングと相補実験の結果、LR11-4変異体の原因遺伝子がプラスチド局在型Fructose-1,6-Bisphosphate Aldolase1 (FBA1) 遺伝子であることを明らかにした。また、FBA1ゲノム配列の制御下でFBA1-GFP融合タンパク質を発現させたところ、根冠や葉のプラスチドに局在が見られた。これらの結果から、プラスチドにおけるFBA1機能が根端メリステムの維持に必須であることが強く示唆された。しかし、FBA1が地上部および根の両方で発現することから、どの器官で発現するFBA1が根端メリステムの維持に重要なのか不明である。そこでこの点について検討するため、野生型とFBA1欠損変異体との接木実験を行った結果について報告する予定である。
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© 2011 日本植物生理学会
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