抄録
オーキシンは細胞伸長や細胞分裂、組織の分化など植物の様々な応答の中心的に働く植物ホルモンである。
シロイヌナズナでは、F-boxタンパク質であるTIR1がオーキシン受容体として働く事が知られている。TIR1は、オーキシン応答の抑制因子であるAUX/IAAとオーキシン依存的に結合し、これをポリユビキチン化することにより分解へと導く。シロイヌナズナには、オーキシン受容体ホモログが5つ(AFB1-5)、AUX/IAAタンパク質ホモログが30個存在する。これらのAFBタンパク質とAUX/IAAタンパク質は機能分化している可能性が示唆されている。さらに、これらの間の認識にも特異性がある可能性がある。ここでは、AFBタンパク質とAUX/IAAタンパク質の全ての組み合わせの認識の特異性を調べる事を目的とした。TIR1とIAA17を共発現する酵母中では、オーキシン依存的にIAA17が分解されることが知られている。ここでは、各受容体候補を発現する酵母と、各AUX/IAAにルシフェラーゼを融合したタンパク質を発現する酵母を作成し、掛け合わせることにより、全ての受容体候補とAUX/IAAについてのペアを持つ酵母を作成した。オーキシン添加後の、酵母が示すルシフェラーゼ活性の変化を調べたところ、受容体とAUX/IAAの間の認識に、ある程度の特異性が有るらしいことがわかってきた。