日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ヒメツリガネゴケ葉細胞のリプログラミングに関わるオーキシン応答因子PpARF11
*永島 明知杉浦 初美大島 真澄西山 智明佐藤 良勝久保 稔日渡 裕二長谷部 光泰倉田 哲也
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p. 0500

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抄録
被子植物の細胞は、リプログラミングを経て完全な植物体に再生することができる。この過程にはオーキシンが必須であるが、その作用のしくみは不明な点が多い。我々は幹細胞化へのリプログラミングにおけるオーキシンシグナリングの役割を明らかにするために、高い分化転換能を持つヒメツリガネゴケを用いて研究を進めている。ヒメツリガネゴケでは葉を茎葉体から切り離し光条件下で培養すると、切断面の細胞がリプログラミングされて原糸体幹細胞に分化転換するが、この過程は抗オーキシンBH-IAAによって抑制された。BH-IAAはオーキシン受容体TIR1に対しオーキシンと競合することで、その下流のオーキシン応答性転写因子ARFを介した転写制御を抑制するものと考えられている。よって、葉細胞のリプログラミングにはARFを介した遺伝子発現ネットワークが重要であるものと考えられる。そこでリプログラミングに関わるARFを同定する為に、ヒメツリガネゴケに存在する13種のARF 遺伝子を単離し、エストロゲン誘導型のARF高発現株およびマイクロRNA (amiRNA)による発現抑制株を作製した。その結果、少なくとも2種のARFがリプログラミングに関わる事が明らかとなった。現在、これら2種類のARFの機能解析と平行して、超並列シークエンサーを用いた網羅的遺伝子発現解析による標的遺伝子の同定を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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