日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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オーキシン応答カイネティクスで明らかになったmsg2-1の傾斜屈性機構
*岡本 崇山本 興太朗綿引 雅明
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p. 0502

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抄録
外性オーキシンに対するシロイヌナズナAUX/IAA19の応答をルシフェラーゼレポーターで測定した。その結果、内生IAA19の発現とルシフェラーゼ活性に相関が見られ、発光がプロモーター活性を正しく反映していた。野生型主根切片で100 nMのNAAに対する応答は一過的に増大し、3 hでピークを迎えた。一方、AUX/IAA19の優性変異体msg2-1の定常状態の発光量は野生型の約半分だった。応答は一過的であり、2 hでピークを迎えた。最大発光強度も野生型の約半分であり、立松ら(2004)の報告に準じていた。この最大発光強度の低下は安定型IAA19変異タンパク質の蓄積によると解釈できる。しかし、オーキシン投与後1 hまでのカイネティクスはmsg2-1と野生型で似ていたことから、msg2-1変異はオーキシン応答の初発段階での関与は小さいと予想された。このことは、msg2-1の根がwtと同様の重力屈性を示すことの解釈となりうる。そこで、重力屈性時におけるpresentation timeを長くする実験を行ったところ、msg2-1の根が傾斜屈性を示すことを見出した。この結果は、分解速度の異なるAUX/IAAタンパク質の組合せが重力屈性の方向(GSA)を決定し、傾斜重力屈性の源となっている可能性を示唆するものである。
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© 2011 日本植物生理学会
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