抄録
葉緑体の機能分化の制御機構を解明する目的で、シロイヌナズナにアクティベーション・タギングを適用し、緑化カルス誘導培地に置いても緑化しないsuppressed greening of calli (SUG) 変異系統を選抜した (植物生理学会年会, 2009)。TAIL-PCRおよび遺伝子発現解析により特定した4種類のSUG候補遺伝子について、これらを強制発現させた形質転換系統および遺伝子を破壊したノックアウト系統の表現型を解析した。分化した植物個体のクロロフィル含量を測定したところ、強制発現系統では野生系統に対して0.35~0.65にクロロフィル含量が低下していた。一方、SUG4のノックアウト系統のクロロフィル含量は、野生系統に対して2.06倍に増加していた。SUG候補遺伝子強制発現系統を用いて、光合成に関わる遺伝子であるクロロフィルa/b-結合タンパク質遺伝子(CAB1)とRubiscoのSサブユニット遺伝子(RBCS-3B)の発現量を測定した。また、GeneChip (Affymetrix) を用いて、クロロフィル合成系に介在する酵素の遺伝子発現を解析している。