日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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ペルオキシソーム局在異常変異体peup2peup4の解析
*及川 和聡柴田 美智太郎近藤 真紀吉本 光希真野 昌二林 誠大隅 良典西村 幹夫
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p. 0516

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抄録
光合成組織において緑葉ペルオキシソームは光呼吸の代謝系などを担う重要なオルガネラである。前回までに我々は緑葉ペルオキシソーム局在異常変異体(peup:peroxisome unusual positioning mutants)を複数選抜した。今回我々はそのうちのpeup2peup4に注目して解析を行った。これら変異体の原因遺伝子はいずれもオートファージー関連因子をコードしていた。野生株と異なりpeup2では細胞の下層にペルオキシソームの凝集が、peup4では細胞質中に葉緑体から離れたペルオキシソームが浮遊していた。また、いずれの変異体の緑葉組織ではペルオキシソーム数の増大が観察された。電子顕微鏡下での観察から凝集や浮遊しているペルオキシソーム内には電子密度の濃い領域が存在しており、特に葉緑体から解離しているものに多く存在していた。さらに、凝集体のペルオキシソームは繊維状の構造を形成しており活性酸素の影響が示唆された。また、強光下での生長解析から野生株と比較してpeup4では葉への傷害が顕著に現れ、活性酸素の過剰な蓄積がNBT染色からも明らかになった。このpeup4の表現形は二酸化炭素濃度の濃い条件下では抑制されたことからpeup4ではペルオキシソームの機能低下が生じていることが示された。以上の結果からペルオキシソームの機能維持におけるオートファジーの関与が示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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