日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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熱ストレスに応答した翻訳状態変化のゲノムワイド解析
*上田 清貴矢村 寿啓久保 祐喜山口 雅利出村 拓松浦 秀幸加藤 晃
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p. 0538

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抄録
環境ストレスによって植物細胞の翻訳状態は大きく変化することが知られている。我々はポリソーム解析とDNAマイクロアレイを応用し、イネ培養細胞における熱ストレスに応答した翻訳状態変化の網羅的解析を行った。解析結果から熱ストレス(41℃10 min)によって過半数のmRNAからの翻訳が抑制され、一方で、一部のmRNAからの翻訳が維持されていることが明らかとなった。次に、各mRNAをコードするタンパク質を機能別に分類し、全体の翻訳状態変化に対して特徴的な変化を示す機能集団を探索した。その結果、複数の機能集団の翻訳状態が全mRNAの挙動と比較して統計的に優位に変化していた。我々はこれまでにシロイヌナズナを対象として同様の解析を行っており、今回のイネでの結果と比較したところ、両植物間で共通した翻訳状態変化を示す機能集団が存在した。これら機能集団に含まれる遺伝子はストレス応答に重要であると考えられ、翻訳段階の制御が熱ストレスに応答した遺伝子発現制御に重要な役割を果たしている可能性が示された。
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© 2011 日本植物生理学会
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