日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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硫酸イオントランスポーターSULTR1;2の発現を指標とした硫黄栄養応答欠損変異株の探索と表現型の解析
*山口 千仁中村 有美子高橋 秀樹丸山 明子
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p. 0532

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抄録
硫黄は植物の生存に必須な多量元素であり、その供給量及び同化能は植物の生育や発達に大きく影響する。硫黄欠乏下(-S)では、植物体内では硫黄同化系で働く酵素群の遺伝子発現および活性が上昇し、-Sでの効率的な硫黄同化、植物の生存が可能になる。-Sで発現が上昇する硫酸イオントランスポーターSULTR1;2のプロモーターの制御下にGFPを発現する形質転換体植物では、-SによりGFPの蓄積が起こる。この植物にEMS処理をしたM2種子を用いて、-SでGFPの蓄積が起こらない硫黄栄養応答欠損変異株を選抜した。これらの変異株から、硫黄栄養に応答した遺伝子発現変化の多くを制御する転写因子SLIM1が同定された。本研究では、これらのうち、SLIM1に変異がない4系統A2, B1, D2, D4について、表現型の解析を行った。各変異株を0, 15, 30, 1500μMの硫酸イオンを添加した培地で成育させたところ、いずれも-Sに応答したSULTR1;2の発現上昇が緩和されたが、A2, B1では0μMの条件でも野生型株との差が認められたのに対し、D2, D4では15, 30μMでのみ差が認められ、応答欠損の度合いが異なっていた。また、根の長さや側根数など、形態的にもA2, B1とD2, D4の間には違いが認められた。現在、硫酸イオンの吸収活性、含硫化合物の蓄積量を解析中である。
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© 2011 日本植物生理学会
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