日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物RISC形成における分子シャペロンHSP90とコシャペロンの関与
*井木 太一郎吉川 学石川 雅之
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p. 0535

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抄録

Posttranscriptional gene silencing (PTGS, RNAサイレンシングのひとつ)では、mRNAやウイルスRNA等がRNA-induced silencing complex (RISC)の標的RNAとして、翻訳抑制や切断を受けて不活性化される。RISCにはARGONAUTEファミリーのタンパク質(AGO)と一本鎖の小分子RNAが含まれ、小分子RNAが相補的配列を含む標的RNAを認識する。RISC形成はPTGSの誘起段階として重要であるが、その分子機構については未だ明らかでない点が多い。これまでに我々は、脱液胞化タバコプロトプラスト抽出液(BYL)を用いた植物RISCの無細胞形成系を確立し、本系を用いた解析により、二本鎖の小分子RNAがAGO1に結合する段階に分子シャペロンHSP90が関与することを示唆した。今回我々は、HSP90とAGO1と二本鎖小分子RNAを含む複合体が形成され、HSP90がATPを加水分解すると、AGO1と二本鎖小分子を含む複合体からHSP90が分離し、AGO1に結合している小分子RNAの一本鎖化が起きること、さらに、この過程にHSP90のコシャペロンが関与することを示す。

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© 2011 日本植物生理学会
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