抄録
半数以上のシロイヌナズナ遺伝子は、その機能が未知であるかアミノ配列の類似性などに基づいて機能予測がなされているだけである。近年、急速に発達している遺伝子発現計測技術とバイオインフォマティクス解析により、高精度な遺伝子機能予測を行うことは、機能ゲノミクスを推進する上で重要である。今回我々は、タイリングアレイによって得られた発現プロファイルを用いて動的に遺伝子モデルを構築しつつ(Dynamic Gene Structure Construction, プログラム名:ARTADE2)、複数コンディションにおける遺伝子の動的な発現変動を解析することで(Dynamic Expression Analysis)、遺伝子の機能予測を行う手法;DSDE法を開発し、この結果をARTADE2DBとして公開した。この方法により、1)機能既知遺伝子の約90%において正しいアノテーション情報を再予測できる精度を得ることができ、2)機能未知遺伝子の98%以上に、なんらかの機能予測を与え、3)約1,500個の新規遺伝子候補をその機能予測結果と共に得ることが出来た。
ARTADE2DB: http://scinets.org/db/artade2