日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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植物生育環境・代謝システムに対するトランスオミクス解析手法の提案
*尾形 善之近山 英輔森岡 祐介菊地 淳
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p. 0546

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抄録
植物を取り巻く自然環境はヒトと生態系サービスとの関係と同様に、環境中のゲノム情報と産生化学物質のふたつの要素で架橋されている。我々はこれらの要素を繋ぐアプローチに基づいて環境をオミクス解析的に展開していくアプローチとして、「ECOMICS」を提唱する。ECOMICSでは環境トランスオミクス解析を実現するために、ゲノミクスおよびメタボロミクスそれぞれを実現するアプローチとともに、異質なオミクスである両者を関連付けるアプローチを提案する。ゲノミクスとしては、リボソームRNAの塩基配列を利用することで、メタゲノム解析で広く対象とされる原核生物に加え、高等植物や藻類を含む真核生物に対しても、配列データに基づく系統分類を実現する。メタボロミクスとしては、植物バイオマスを含む環境化学物質のNMRスペクトルに基づく環境ケミカルフェノタイピングを実現する。両者の統合的アプローチとして、両オミクスデータ間での相関マップを描画することで、環境試料を用いたトランスオミクス解析を実現する。植物生育環境中の塩基配列とNMRスペクトルの時系列変動データセットを用いることで、環境ゲノム情報と植物バイオマスとの関連付けが可能となり、植物代謝システムの包括的理解に繋がる知見が得られると期待する。ECOMICSサービスはhttps://database.riken.jp/ecomics/より公共利用が可能である。
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© 2011 日本植物生理学会
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