抄録
これまでの私達の解析ではCT-MPSS法を用いてシロイヌナズナの転写開始点タグの配列決定を行い、選別された160,000のタグ情報を収集・整理してきた。これはシロイヌナズナの全遺伝子28,000のうち10,000遺伝子をカバーするものであった(山本らPlant J, 60: 350, 2009)。遺伝子のカバー率を上げること、また環境や組織により制御されるオルターナティブプロモーターのゲノムワイドな同定を目的として、今回いわゆる次世代シークエンサー(Illumina社)を用いて同様の解析をスケールアップして行っている。組織別、またストレス処理の有無などのサンプルよりRNAを抽出し、oligo-Cap法を用いて転写開始点タグを調製し、大規模配列決定を行った。得られたタグ配列を選別し、ゲノム配列へのマッピング、さらに選別を行い、確度の高い転写開始点情報を調製した。得られた30,000,000のTSSタグ情報は25,000の遺伝子をカバーしており、遺伝子の転写開始点の位置を決める上ではまず十分な分量であった。現在タグ情報を整理し、オルターナティブプロモーターの検索を行っており、得られた結果について報告したい。