抄録
Positron-emitting Tracer Imaging System(PETIS)を用いて、Cd超耐性/超蓄積シダ植物「ヘビノネゴザ」のCdの吸収動態を解析した。まず、1/4MSと0.5mMCaCl2の2種類の異なる培地をベースに、トレーサーとキャリアーを合わせて0.1μMとなるようCdを混合し、ヘビノネゴザとタバコでCdの吸収・移行を比較した。その結果、ヘビノネゴザでは、CaCl2をベースにした場合、1/4MSに比べて根への取り込み量が少なく、取り込まれたCdが地上部に移行する割合も小さかった。一方、タバコでも同様にCaCl2をベースにした場合、1/4MSに比べて根への取り込み量が少なかったが、取り込まれたCdのかなりの割合が地上部に移行した。次にこれらの培地条件において、根を4℃に冷やした場合の変化を観察した。その結果、ヘビノネゴザでは、CaCl2をベースにした場合、1/4MSに比べて根への取り込み量がある程度増加したが、取り込まれたCdはほとんど地上部に移行しなかった。一方、タバコでは同様にCaCl2をベースにした場合、1/4MSとほぼ同程度の根への取り込み量であったが、取り込まれたCdが地上部に移行する割合は若干多かった。これらの結果は、ヘビノネゴザとタバコにおけるCd吸収に関わるトランスポーターの特性を明確に示している。