日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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Cd超耐性植物ヘビノネゴザとタバコにおける基本培地によるCd蓄積部位の相違について
*柳澤 俊輔橋田 慎之介庄子 和博後藤 文之島田 浩章吉原 利一
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p. 0559

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抄録
我々はCd超耐性/超蓄積シダ植物「ヘビノネゴザ」のCdの吸収・蓄積メカニズムを明らかにするため、様々な培地におけるCdの吸収・蓄積を数種の植物と比較している。ここでは、1/4MSと0.5mM CaCl2の2種類の異なる液体培地をベースに、0.1μMとなるようCdを混合し、ヘビノネゴザとタバコの幼植物体を24時間培養した場合のCd蓄積量をICP-AESを用いて定量した結果について報告する。まず、ヘビノネゴザでは、1/4MSベースにした場合、CaCl2ベースよりも植物体全体としてのCd蓄積量が多く、そのうち根における蓄積量が全体の9割程度を占めていた。しかし、CaCl2ベースにした場合、逆に植物体全体でのCd蓄積量が大きく減少したにも関わらず地上部への移行量は変わらなかったため、根への蓄積割合は5割程度に減少した。一方、タバコでは植物体全体での蓄積量は1/4MSベースとCaCl2ベースのいずれにおいてもほぼ同程度であったが、1/4MSベースでは相当量が地上部に蓄積され、地上部に移行される割合が相対的に大きな割合を占めていたのに対して、CaCl2ベースでは地上部へ移行するCdの絶対量、全体に占める割合共に減少した。また、これらに伴い、種々の必須元素の蓄積量にも特徴的な変化が認められた。この結果は、ヘビノネゴザとタバコにおけるCd吸収に関わるメカニズムの違いを示していると考えられる。
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© 2011 日本植物生理学会
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