日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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イネ高温登熟耐性に関係する新規遺伝子の探索
*白矢 武士森 太紀大久保 英奈丸山 達也金古 堅太郎古賀(北嶋) 彩濱田 侑紀水谷 理絵甲州 努中山 勇希石山 隆一伊藤 多絵子梅澤 幸歩木村 泉石本 卓也猪俣 拓也小泉 拓真三ツ井 敏明
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p. 0568

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抄録
近年、地球温暖化に伴いイネ登熟期の異常高温による白未熟粒の発生が問題となっている。これは機能タンパク質発現の異常や光合成産物の転流量低下など様々な要因の関与が想定されるが、詳細は明らかではない。我々は高温登熟障害米の発生機構を明らかにするため、高温登熟性の異なるイネ品種について登熟種子で発現する遺伝子およびタンパク質をマイクロアレイとプロテオミクスにより網羅的に調べ、高温に対する影響の品種間差異を調べた。調査品種として高温登熟性の優れた「ゆきん子舞」と高温登熟性の悪い「トドロキワセ」を用い、温水かけ流し処理を行った高温区と一般圃場の対照区で比較した。その結果、Superoxide dismutase(SOD)タンパク質発現がゆきん子舞では高温処理の有無に関わらず安定的であったのに対し、トドロキワセでは高温処理で強く誘導されることが分かった。また、SOD強発現組換えイネにおいて高温登熟性の向上が見られたのに対し、RNAiによる発現抑制体では高温登熟性が低下した。以上の結果は、SOD遺伝子がイネの高温登熟耐性に関わることを示唆する。
さらに、複数のコシヒカリ培養変異系統において高温下でも良好な種子の玄米形質を示す系統が見つかった。これらはTos17挿入変異による遺伝子破壊により高温登熟耐性を獲得した可能性がある。現在、これら変異系統の高温登熟耐性機構の解明にむけ解析を進めている。
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© 2011 日本植物生理学会
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