日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナの水分屈性に必須なMIZ1タンパク質の局在解析
*山崎 誠和小林 啓恵宮沢 豊高橋 秀幸
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p. 0596

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抄録
水分屈性は植物の根が湿度勾配を感知して高い湿度の方向へ屈曲伸長する現象である。我々は、シロイヌナズナにおいて水分屈性を欠損する変異体miz1を以前に単離しており、変異体ではmiz1遺伝子のコード領域に変異があることがわかっている。MIZ1タンパク質の分子機能を理解するために、シロイヌナズナの根におけるMIZ1タンパク質の細胞内局在について解析を行った。細胞内局在を推測する複数のアルゴリズムを用いると、MIZ1は色素体に移行するものと推測された。また、ハイドロパシー解析を行ったところ、MIZ1タンパク質は可溶性タンパク質と予想された。MIZ1に緑色蛍光タンパク質(GFP)を付加したMIZ1-GFPを発現するシロイヌナズナの形質転換体の根を観察したところ、予測に反して色素体内にGFPの蛍光は認められなかった。そこで、免疫ブロット解析を行ったところ、MIZ1-GFPは可溶性タンパク質の画分に分画されるだけでなく、膜タンパク質画分にも分画されることが示された。さらに、ショ糖密度勾配遠心法とプロテアーゼプロテクションアッセイを用いて膜タンパク質画分のMIZ1-GFPについて詳しく調べたところ、MIZ1-GFPが細胞質側の小胞体膜上に存在することが示された。これらの結果は、MIZ1が小胞体機能に関係する可能性を示唆している。今後は、小胞体の水分屈性への関与について調査する必要がある。
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© 2011 日本植物生理学会
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