日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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気孔閉口因子SLAC1を機能欠失したイネ突然変異株の単離と解析
*楠見 健介廣塚 祥子射場 厚
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p. 0597

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抄録
大気中のCO2濃度上昇と温暖化は一般的には植物の生産性を増やすが、一方で、高濃度のCO2は気孔閉鎖とそれに伴う蒸散量の減少と葉温の上昇を引き起こし、高温障害を助長する可能性がある。本研究ではイネを材料として、気孔が常時開口した変異株を単離し葉温上昇の抑制効果と成長への影響を調べた。SLAC1は、シロイヌナズナから単離されたジカルボン酸輸送タンパク質で、孔辺細胞に局在し気孔閉口因子として機能する。相同性検索によりイネSLAC1オルソログ遺伝子(OsSLAC1)を推定し、NMUにより誘発した突然変異株集団からTILLING法によりOsSLAC1の読み枠に変異を持つ個体を選抜した。自殖し得た変異ホモ個体をサーモグラフィーカメラで撮影したところ、複数の変異株で野生株と比較し葉温が低下する事を確認した。これらの結果は、イネにおいてもSLAC1が気孔閉鎖因子として機能すること、葉温を抑制するツールとして使用できることを示している。これらの変異株を用いて、CO2濃度や湿度などを変化させたときの葉温や光合成速度に対する影響を調べた結果を報告する。
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© 2011 日本植物生理学会
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