抄録
これまでの遺伝学的解析から、OsPti1aはイネにおいて真性抵抗性および基礎的抵抗性の発動を負に制御する因子であることを見いだしている。昨年度の年会で、OsPti1aの生理機能にはそのN末端が必須であり、この領域への脂質修飾により細胞膜上に局在していること、ならびに細胞膜上では複合体を形成していることを報告した。そこで、ゲル濾過法によりOsPti1aを含む複合体について詳細に解析したところ、OsPti1aは200~300kDa前後の複合体を形成しているのに対し、N末側を欠損することにより、複合体のサイズが小さく変化することが確認された。すなわち、OsPti1aが機能するためには、そのN末端を介して細胞膜上に局在し、適切な複合体を形成する必要があると考えられた。そこで、OsPti1aを含む膜複合体について明らかにするため、抗-OsPti1a抗体を用いてOsPti1aと相互作用する膜複合体構成因子を精製し、質量分析法によりペプチド配列を決定した。これらの同定された候補因子について、OsPti1aとの相互作用を確認し絞り込みを進めている。