日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
第52回日本植物生理学会年会要旨集
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シロイヌナズナのABAシグナリングに関わる3種のSnRK2タンパク質リン酸化酵素は種子の成熟と環境ストレス耐性を制御する
*中島 一雄藤田 泰成圓山 恭之進篠崎 一雄篠崎 和子
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p. 0613

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抄録
我々はシロイヌナズナの3種の相同性が高いABA活性化型SnRK2タンパク質リン酸化酵素SRK2D/SnRK2.2、SRK2E/SnRK2.6/OST1、SRK2I/SnRK2.3の種子における機能を調べている。既にsrk2d srk2e srk2i三重変異体では、種子成熟期に生育阻害や乾燥耐性の低下が見られること、休眠能の低下、穂発芽、極めて強いABA非感受性があることを報告しているが(Nakashima et al., 2009, Fujita et al., 2009)、糖やGA合成阻害剤であるパクロブトラゾール(PAC)に対しても非感受性であることが示された。また、三重変異体種子ではLEA(late embryogenesis abundant)タンパク質やHSP(Heat Shock Protein)をコードする遺伝子など、多くのABA・ストレス関連遺伝子の発現レベルが変化している。ストレス耐性試験を行った結果、三重変異体種子は、乾燥だけでなく低温や高温ストレスにも弱いことが明らかになった。以上の結果から、これら3種のSnRK2は、広範囲にわたる遺伝子発現の調節を通じて、種子成熟、発芽、環境ストレス耐性をコントロールしていることが示唆された。
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© 2011 日本植物生理学会
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